はじめに

屋久島の地に、次世代に残す“物語”を

　1708年、江戸時代中期の屋久島に日本史に大きな影響を与えた出来事が起こりました。私たちはこの出来事にしっかりとした歴史的検証を与え、広く発信するため「屋久島シドッティ記念館」を設立したいと思います。

　そこには、自然だけでない新しい屋久島の魅力があり、未来へと語り継がれるべき“物語”があるからです。

　では、その時に屋久島に何が起こったのでしょうか？

今から314年前のこと、

サムライ姿の異国人が密かに屋久島に上陸しました。

　1708年10月11日、大きな異国船が屋久島沖に姿を現しました。

　そして、その日の深夜、母船から降ろされた小船が闇に紛れるかのように屋久島南岸に密かに近づきました。乗っていたのはサムライ姿に変装したイタリア人で、名前をバッティスタ・シドッティといいました。

https://www.yakushima-sidotti-museum.com/

時は、入国を厳しく禁じられた鎖国時代。命の保証はありません。

この男の正体は？そして、屋久島に上陸した目的は何だったのでしょうか？

　ローマを出てから5年目にして、はるばる大海を越えてやってきたシドッティは、カトリック宣教師であり知識人でした。江戸の将軍に会い、キリスト教の布教を許可してもらうことが上陸の目的でしたが、同時にベールに包まれたミステリアスな国ニッポンに対する強い好奇心と憧れをその胸に抱いていました。

　マニラを出航してから50日目にたどりついた屋久島を上陸の地と決めたのは、彼の生まれ故郷であるシチリア島に似た緑の山脈が連なる風景が目に入ったからかもしれません。

時間と空間を超えた感動の出会いの“物語”が、そこに。

　命をかけて、自分の夢を実現しようとしたシドッテイの熱い思いとまっすぐな行動力に、心を動かされた日本人がいました。

　屋久島の松林の中で出会った恋泊村の藤兵衞は、言葉も通じなく、素性もわからない異様なサムライ姿の異国人をためらうことなく迎え入れ、食べ物と寝る場所を与えました。

　やがて、江戸に連行されたシドッティは、将軍の側近で学者であった新井白石の尋問を受けました。異国人の知識の深さと謙虚な人柄に大きな感銘を受けた新井白石は『西洋紀聞』を著し、シドッティの名を歴史に残すとともに、その後の日本史に大きな影響を与え、結果として明治維新へとつながる道筋を作りました。

この“物語”をつくるのは、あなたです。

　私たちは「屋久島シドッティ記念館」を多様な人が垣根なくつながり、互いに交流する場所に育てたいと思います。

　地域コミュニテイの発展の拠点として、外に向かってメッセージを伝える場として、困難な時代に突入した“今”だからこそ、「屋久島シドッティ記念館」設立は、世代を超えて歴史と自然と人をつなぐ意味あるプロジェクトであると考えます。

支援が必要な理由

　「屋久島シドッティ記念館」は建設することが目的ではなく、多くの人々が集い、長く愛される場所となるよう建物に命を吹き込むことが最も大切なことであると考えます。

　そのため、「屋久島シドッティ記念館」を設立するための資金の一部をクラウドファンディングで集め、多くの協力者、賛同者を募ることで実現させたいと考えます。たくさんの方々に愛着を持っていただけるよう、人々がつながる仕組みを通して、広く協力を募ることを目指したいと思います。

支援の使い道

　建物は極力、自然素材のみを使った温かみのあるものにしたいため、まずは地元産の木材を購入する資金を集めることからスタートしたいと思います。山から切り出したままの木材はしばらく乾燥させる必要があり、早めに購入して準備を整えられたらと願っています。

目標金額　500万円

主に構造材として屋久島産木材の購入費用　500万円

さいごに

　世界自然遺産登録地である屋久島は、たぐい稀な自然に目を奪われがちですが、村人の静かな暮らしとともに驚くような劇的な事件もそこにありました。私たちはこの見落とされてきた歴史の一幕を次の世代へ語り継いでいきたいと思います。

　素晴らしい自然は、そこに人の存在が見えるからこそ、人の心を動かすことができるのだと思います。いま大切にしたいのは、人と人とのつながりではないでしょうか。300年前に宣教師シドッティを突き動かした情熱とその壮大な航海の道、そして村人との交わりを考えることで、自分だけでは見つけることができなかった何かが見えてくるような気がしています。

　そんな体験ができる場所を一緒につくり、ともに答えを見つける旅にでませんか？

－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－

【プロフィール】

古居智子（屋久島在住作家）　

著書『密行　最後の伴天連シドッティ』

　米国ボストンを拠点にジャーナリストとして活躍後、ウッドワーカーの夫と生まれたばかりの息子とともに1994年屋久島に移住しました。

　本業は作家です。移住直後に、偶然に出会い家を建てた場所が恋泊。シドッテイ上陸地のすぐそば、という縁に導かれるように、2010年にシドッテイの生涯を描いた『密行―最後の伴天連シドッティ』を出版しました。

　そして、没後ちょうど300年の2014年に、東京文京区でシドッティの遺骨が発掘されたことを契機に、増補版を上梓。イタリア語、フランス語にも翻訳され、2017年にはミラノ、ローマ、シチリア島をはじめイタリア各地で講演しました。

　３世紀の時を経て姿を現したシドッテイは、現代の私たちにどんなメッセージを伝えようとしているのでしょうか。周りの友人たちと話す中で、いつしか「屋久島シドッテイ記念館」の話が生まれ、育ち、芽吹きはじめ、今年5月にNPO法人やくしま未来工房を設立して本格的な活動を開始しました。

【これまでの活動】

　「屋久島シドッテイ記念館」設立とともに、SDGsの理念に沿った屋久島の歴史、自然、人をつなげる活動を推進したいという思いでNPO活動を推進しています。

　シドッティの屋久島における足跡についての研究、特にその歴史的背景、航海の模様、上陸地点の特定や島民との交流、さらには戦前から屋久島の有志の手でなされてきた顕彰の軌跡など、研究者、郷土史家、ボランティアスタッフと調査を重ねています。

　また講演会、交流会、展示会などのイベントの開催、チラシや冊子の配布などとともに活動内容を随時、ホームページで発信しています。

　信条、宗教、性別、国籍などすべてのバリアを超えて、わたしたちの試みは大きなうねりとなってつながっていく手応えを感じています。

私たちの想い

『西洋紀聞』にも記されたシドッティ神父の屋久島上陸は

まぎれもない歴史の一幕であり、

語り継がれるべき物語です。

この事実を伝え守ってきた島の先人たちの想いを

わたしたちは今、新しいかたちで遺していきたいと願います。

・

屋久島の「シドッティ記念教会」の敷地内には、

約400坪の平坦な土地が広がっています。

そこからは美しい緑の山並みが望め、

また視線を転じると、蒼い海が急峻な崖にぶつかり白波をあげる様子も眺められます。

秋には、教会の周囲はヒマワリやコスモスの花で色とりどりに染まります。

・

この素敵な場所に、

シドッティ神父の足跡を遺すとともに

300余年前の異国人と村人との触れ合いを再現し、

屋久島を訪れる方々と地元の私たちが

ワイングラスやコーヒーカップを片手に談笑できる場所ができたら

と、ある日浮かんだ夢想がひとつになり、

「屋久島シドッティ記念館設立実行委員会」が生まれました。

・

大変な道のりであろうとは思いますが、

ひとつひとつ石を積み上げていくように

賛同してくださる方々と一緒に

夢の実現に向けて歩み出せたらと思います。

このクラウドファンディングを通じ

私たちの活動や夢を発信することで、

共感してくださる方々や活動を応援したいと思ってくださる方々との

心のつながりを大切にしながら、歩んでいけたらと願います。

どうかご協力のほど、よろしくお願いいたします。

NPO法人やくしま未来工房「屋久島シドッティ記念館設立実行委員会」

https://www.yakushima-sidotti-museum.com/